トヨタが「空飛ぶ自動車」開発ベンチャーに約430億円投資、開発・生産で協業することについて考えてみた

1月16日、トヨタ自動車アメリカの「空飛ぶ自動車」開発ベンチャー Joby Aviation社に約430億円を出資し、開発・生産で協業することを発表しました。

 

それがどういうことなのか、考えてみました。

しばし、僕の妄想にお付き合いください。

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・金額の大きさについて考える

 430億円の投資というのはどういう規模なのでしょうか?

まずは、そこから考えていきます。

 

トヨタの年間の開発費と自動車1台の開発費について調べてみました。

年間開発費は昨年度1兆円強、CASEなどの新技術開発などの費用が増えており

少し、開発費は増えているようです。

豊田社長も開発費は1兆円台をキープすると発言しています。

www.sankeibiz.jp

430億円というと、この約4%、25分の1といったところです。

 

また、自動車1機種の開発費の視点から考えると

当然機種によって変わるのでしょうが、新規開発で1機種300~500億円くらいのようです。

 

そこから考えると

新車開発1機種分くらいですから

トヨタとしては、1回の投資としては大きいのかもしれませんが

とんでもなく大きな投資というわけではなさそうです。

 

一般家庭で、ダイソンの掃除機とか4Kテレビとか

ちょっといい家電を買うくらいの感覚ですかね。

 

トヨタが得るもの

 金額的に、社運を賭してというレベルのものではないように感じられますが

空飛ぶ自動車が、本当にものになるのか判らないもの(個人的には、バッテリーを含めたパワートレインの性能と安全の担保にまだまだ高いハードルがあると考えています)

戦略を立てようにも、ハードウェアという要素すらはっきりしないものでありながら

ひとたび確立すれば多くのプレーヤーと戦うことになり、既存事業の在り方に多大な影響を与えかねないものを

いざとなったらリードしていく確立を高めておくための投資としては、なかなかリーズナブルといえそうです。

 

しかも、開発と生産にトヨタ生産方式を伝授するという形で、自社のビジネスのやり方にアジャストする機会と時間を持ち

お目付け役を派遣する権利を得たわけですから

お金の使い方がうまいな、という印象を受けますね。

 

いやいや、ならばトヨタが自分でやったらどうなの?という意見があるかもしれませんが

空飛ぶ自動車のために、これから人を集め、場所を確保し

要素開発を行い、先じているプレーヤーたちの出した特許対策を行わなければならない(当然それに伴う開発が発生する)と考えると、

少なくとも他のプレーヤーが進んだところまでをなぞることに多大な費用と時間が発生するわけで、果たして完成までにどれくらいのコストがかかるやらということになります。

これが、将来かなりの確度で成立するビジネスならリソース集中もできるのでしょうが

成立するかどうかわからない上に、目先の自動車のほうでやることはいっぱい

そのうえ、もしかするとITの発達で、移動しなくても事足りる未来が来るかもしれない

という混とんとした現在を考えると、自前開発はリスクだけが大きいのではないかと考えます。

 

・Joby Aviationにとってはどうなのか?

今回の投資がトヨタにとって、良い話といえそうですが

投資先のJoby Aviationにとってはどうなのでしょうか?

 

当然、430億円というまとまったお金が得られることで開発は加速するでしょう。

Joby Aviationのホームページを見ると、130人くらいのスタッフを募集するとあります。

彼らの開発がどのくらいのところまで来ているのか、正確には判りませんが

多少、トヨタの監視が付くことになるとはいえ

量産化に向けての後ろ盾を明言されたことで、同業のベンチャーたちの中では少しアドバンテージを得た言えるのではないでしょうか

 

<Joby Aviation HP>

https://www.jobyaviation.com/

具体的に必要なエンジニアの職種を提示しています。

この分野の仕事をしたい方には、チャレンジの良い機会かもしれません。

 

・まとめ

今回の投資は、トヨタにとってもJoby AviationにとってもWINWINの関係と言えそうです。

ある程度成熟されてきた現代において

これからの新しいハードウェアを作るには、高度な専門性が必要であると同時にビジネスの成立性について大きなリスクを負うことになります。

 

各企業の規模や専門性をふまえて、プロジェクト的に協業するやり方は既に一般的になっていますよね。

目的や意義を明確にして、やり方については柔軟な対応を取っていくことが重要なんだと考えます。

 

僕は、今回のトヨタのお金の使い方はうまいな~という印象を持っています。

こういうお金の使い方ができるあたりが、日本の自動車メーカーでほぼ1強となる理由なのではないかと感じています。